血液検査でアルツハイマー病を早期発見
-血液バイオマーカー"p-tau217"による高精度診断の実現-
新潟大学脳研究所の春日健作助教(研究当時、現・国立長寿医療研究センター研究所部長)、菊地正隆特任准教授、池内健教授らの研究グループは、富士レビオ株式会社、国立精神・神経医療研究センター、東京大学などとの共同研究により、血液バイオマーカー「p-tau217」が脳内のアミロイドβ蓄積を高精度に検出し、アルツハイマー病の発症予測に有用であることを明らかにしました。
日本人を対象とした多施設共同研究J-ADNIの172名の血液を解析した結果、血漿中p-tau217は、脳内アミロイド病理を90%以上の精度で検出できることが示されました(図1)。また、軽度認知障害の方でp-tau217が高値を示した群は、低値群と比較して約5倍の頻度(ハザード比4.717)でアルツハイマー病へ移行することが明らかになりました(図2)。さらに、体格指数(BMI)や腎機能などがp-tau217の測定値に影響することも確認されました。
従来、アルツハイマー病を生前に確定診断するにはアミロイドPET検査や脳脊髄液検査が必要でしたが、コストや身体的負担などから、より簡便な血液検査が注目されています。本研究成果により、日本人における血漿p-tau217の臨床実装に向けた重要な基盤が構築され、認知症の早期診断や治療法の選択が可能な次世代診断薬の創出につながることが期待されます。
本研究成果は、2026年2月9日付けで国際医学誌「Journal of Prevention of Alzheimer’s Disease」にオンライン掲載されました。
DOI: 10.1016/j.tjpad.2026.100502
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2274580726000269
用語解説
- p-tau217:タウタンパク質の217番目のアミノ酸がリン酸化された状態。アルツハイマー病では異常にリン酸化されたタウが脳内から血液中へ漏れ出ると考えられています。
- J-ADNI:全国38の医療機関が協力して537名を約3年間追跡し、アルツハイマー病の進行や有用な検査方法を調べた日本の大規模研究。



